「発達機能障害」ともいい、脳の中の部分的な機能がうまく働かずに行動や学力、社会性などの、
ある特定の領域に困難さがみられる状態をいいます。発達障害は生まれつきのもので、原因はよくわかっていません。
身体障害、知的障害、精神障害の陰に隠れ、長年福祉の谷間で取り残されていたのが「発達障害」です。
2005年4月に「発達障害者支援法」(文部科学省)が施行され、知的障害を伴わない発達障害も支援の対象となりました。
「発達障害支援法」(文部科学省)で定義されている発達障害は、発達に偏りがある「自閉症スペクトラム障害(ASD)」、
「注意欠如多動性障害(ADHD)」、「学習障害(LD)」などを指します。これらは知的障害を併せもつ場合もあれば、
知能には全く問題のない場合もあります。つまり、知的障害は発達障害の一つと言えます。
不注意・多動性・衝動性の3つの症状が特徴です。集中できない、落ち着きがない、考える前に行動する。
(多動性のないものは注意欠如障害(ADD)という)
不注意
- 忘れ物や大事なものを失くすことが多い。うっかりミスを何度も繰り返す。
- 周りからの刺激があると気が散りやすく注意力散漫。
多動性
- おしゃべりが止まらなかったり、席についていられずに歩き回ったりしてしまう。
- 座っていても手や体を動かしつづけてしまう。
衝動性
- 衝動のコントロールができない。突発的な行動が目立つ。順番を待つことや我慢することが苦手。
- イライラしやすく、思い通りにいかないと些細なことで手をだしてしまう。
対人関係・社会性やコミュニケーション能力に障害があり、物事に強いこだわりがあります。
また感覚が異常に過敏(または鈍感)であったり想像力の障害などもあります。
気持ちを伝えること、視線を合わせること、友達関係をうまく築くことなどが困難。
言葉の発達に遅れや偏りが見られることもある。言葉の遅れがある場合は質問に対してオウム返しをしたり、
単語だけで話をしようとする。会話も一方的になりがち。遊びのルールが理解できなかったり、共同作業などが困難。
音、匂い、接触刺激、痛みなど特定の感覚に過敏性を示したり、鈍さを示したりする。
生活習慣や偏食、 同じ服をいつも着るなどの特徴的なこだわりを持ったり、特定の興味に熱中する。
また、くるくるとまわったり手のひらをひらひらさせたりする行動がよく見られる。
療育は、子どもの持っている力を引き出し、充実した生活を送れるようにするための援助であり、
社会的な自立への支援。その子に合わせた援助を総合的に行っていくもので、無理やり何かをやらせるようなことは逆効果となってしまいます。
子どもが「生活しやすくなるためにどうしたら良いか」「どんな力を持っていて、どう伸ばしていけば良いのか」などを、
考えて支援してあげることが大切です。
発達障害の人は、特異な能力や才能を持つ人も多く、芸術・芸能、スポーツなどあらゆる分野でたくさんの人が活躍しています。
注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、それぞれの特性を知り、
理解と適切な環境で明るく前向きに子育てしていただきたいと思います。